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>> シンフ ノ キモチ …(新父の気持ち) <<

11月某日  「  いざ本番 3 」



分娩室に入ると、そこはまさに手術室だった。

銀色の器具と緑のシーツにかこまれた世界。

上から照らされる真っ白な照明。

「だんなさんはこちらへどうぞ。」

看護婦さんにうながされるままに視線をその方向へと向けた。

視線の先には彼女の足があった。

彼女のむきだしになった両の足があった。

彼女の顔は見えずに足だけが開かれた状態で、こちらを向いていた。

そして銀色の器具と緑色のシーツ、そして彼女の開かれた足。

そして出産が近いことを証明する若干の出血。



ここで僕の緊張は急激に変化した。

ドクンっ!と体で感じるほどの変化を感じた。

いや、緊張なんてものではない、戦慄。

異常なまでの現実感。

モザイクがかかるようなTVの世界ではなく、何もかもが

はっきりと感じられる現実感。

そして、匂い。

消毒液の匂い。

血の匂い。

排泄物の匂い。

そして正念場の匂い。



出産は始まった。

彼女は痛みに耐えながら、呼吸を整える。

看護婦さんは慣れた手つきで最後の準備をする。

ここで僕は意外なことを知った。

出産というのは医療とは違い、

特に医師免許というのは必要ない。(※と思う)

だから、さっきまで世話してくれた看護婦さんが、

そのまま出産までも担当する。

これは正直、意外だった。

別に看護婦さんに恨みはないけれど、

正直、意外で、そして少しだけ不安だった。



彼女が陣痛を訴え始めてから約12時間。

分娩室に入ってからは約30分が過ぎていた。


分娩室の中では彼女の呼吸音と悲鳴が交互に起こる。

「はい、いきんで!」

看護婦さんの指示のとおり、彼女はいきむが

子供はなかなか出てこようとはしない。

そして再び彼女の叫びが分娩室の中にこだまする。

その光景を彼女の横でただ見つめるだけで、

なにもすることの出来ない僕は本当に無力だった。

なにもすることの出来ない・・・

いや、一つだけ出来ることはあった。

それは彼女の体を通して、おなかの中の子供に

メッセージを贈ること。

無言でメッセージを贈ること。

僕は彼女の手をとり、彼女の首の後ろに手をあて、

彼女がいきむと同時に目を閉じた。

そしてメッセージを贈りつづけた。

「頼む・・・頼む・・・頼むから・・・」

そんな言葉にならないメッセージが届くことを

分娩室の無力男は必死に祈った。




…つづく

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