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第6回
派遣労働
昔、大阪のドヤ街で働いたことがある。
２０代の頃。
今、暴動とか起きてニュースになっているところだね。
三角公園っていうのがあって、そこには、その日暮らしの労働者と
そして、ヤクザがいたんだ。
日々、労働者は日雇いで働き、結果、その上前の５０％とかをはねられ、
そして残ったその金を、
ヤクザが毎日サイコロとかの賭場を開き、
労働者から、しぼり取ろうとしていた。
そして実際、しぼり取られているものが多かった。
僕はそんなに長くその街にはいなかったんだけれど、
毎夜、安宿で陽のあたるところへ帰りたい、帰りたいと
恐怖に震えながら泣いていた。
※でも、今は無事、帰れた！！良かった・・・
その頃の僕の状況は、かなり特殊だったはずだったんだけど、
どうやら、いつのまにか、それに近い地獄が全国に広がっているように思える。
それも、派遣労働という耳障りのいい言葉で。
僕はこのドヤ街の経験があるから、
派遣会社、ようはピンハネ屋というものを一切、信用しない。
最低だとも思う。
自分は働かず、人に働かせてその上前をはねる。
昔からヤクザの領域の仕事だ。
しかし、それが、現代では法人という名を借りて、
堂々とエラそうに踏ん反り返っている。
手法まで全て一緒だ。
食費だ、寮費だ、光熱費だと、
賭場にいたヤクザのように、
なんやかやと一円でも多く搾りとろうとしている。
話、変わるけど、
昔、大きな派遣会社の社員マニュアルのようなものを、
見せてもらったことがあるんだ。
その中身を見て絶句したのを憶えている。
要約するとこういうことだった。
”派遣なんかに応募してくる奴はろくなやつじゃないから、
甘いこと言って使い捨てろ。”
こういう内容のことが、小難しい文章で書いてあった。
本当に書いてあったんだよ。
随所に”夢”とか、”希望”とかいう甘い言葉を散りばめながら。
これは相当、衝撃が強かった。
***
みんな当然知っていると思うけれど、
2008年６月に秋葉原で凄惨な事件が起きた。
なんやかやと言われているけれども、僕は、この犯人が社会に出てから
ほとんどの時間を派遣という労働形態に費やしていたことは重要なことだと思っている。
派遣労働は孤独だ。
この孤独は筆舌に尽くしがたい。
そして、昔からピンハネされる者は孤独だ。
人間は弱い。
自分以外に話す者がいなくなった場合。
いとも簡単に狂う。
昔、ＴＶか何かを作る会社の工場でバイトしたことがあるんだけど、
誰とも話さず、ただベルトコンベヤーの前で作業をして、
僕はたった一日で精神のバランスを崩しそうになった。
そしてあっという間にばっくれた。
そんなことを憶えている。
もし、これが、毎日、そして強制的に続いたら…
そう思うと、今でも寒気がする。
仕事って一体なんだ？？
だから、僕らは、このことを再度、考えなくてはいけない時代だと思う。
仕事っていうのは、本来、金だけが目的じゃなかったはずだ。
仕事をすることにより、社会に参加することができ、
そしてそこには様々な人、若者から高齢者から、男から、女から、
さまざまな経験値を持ったものがいて、
そういう人々と出会ってゆくことで、
金じゃない、金よりももっと、もっと、これからの人生に
必要な人脈であるとか、人間力を蓄積してゆく。
これが、そもそもの、仕事というものに与えられた重要な使命だったというのに。
いつのまにか、
金に目のくらんだ、大バカ野郎どもが、
人間を生き物とは思わないサイコパスどもが、
ただ、その小手先の頭の良さを振り回して、
この仕事の重要な使命を踏みにじり、
人様の大事な子供の人生を狂わせている。
僕は、このことに、１人の父親として、爆発的な怒りを感じる。
そして、こう思う。
愛のない派遣会社を潰せ。
潰すのは簡単だ。
そんな会社で誰も働かなきゃ、いいんだ。
ただ、それだけのことなんだ。
そうすりゃこの世界から消える。
それぐらい、世の中なんて実はシンプルなんだ。
ただ、それだけのことなのに、
そんなことにも気づかないで、諦めた顔をしているやつらも、
残念だけど大バカ野郎だ。
もっと勇気を持って、一度しかない自分の人生を抱きしめればいいのに。
やりたいことやる！って言っちまえばいいのに。
そういうのを僕は本当の勇気だと思うんだ。
人生の目的は金じゃない。
笑うこと。
もし、今、君が笑えないんだったら、
それはきっと君の居場所じゃないんだ。
そう思うんだ。
そんなことを思いながら、
今回はこんなことを、やっぱ言ってみました。
青臭いと言われても仕方ないですなあ。。。
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